防音工事で使用する測定器

住居や事務所に求められる性能として、「静かさ」や「防音性能」が挙げられます。最近は一般のご家庭でも防音室を設置する工事をすることがあり、防音室には一定数のニーズがあることがわかります。

防音室工事の際は、測定器を活用してどれほど防音されているかを確認することが不可欠です。今回は、防音工事で使用する測定器の種類について解説していきます。

防音室の工事に測定器は欠かせない

生活様式の変化や趣味の多様化により、自宅を防音室にしたいと考える方もいるでしょう。

ペットの鳴き声や楽器の演奏、ホームシアターの作成など、防音工事の目的はさまざまです。近年のリモートワークの普及により、自宅で快適に仕事をするために防音工事を検討する方もいるかもしれません。

防音のために行う工事としては、防音サッシの取り付けや防音壁の使用などが挙げられます。このような防音工事の効果を測定するのが、測定器の役割です。

防音機能を数値データとしてお客様に提示することで、信頼感がグッとアップします。品質向上のためにも、防音工事では測定器を活用していきましょう。

防音工事に使用する測定器

それでは、防音工事をする際はどんな測定器を使用するのでしょうか。ここからは、防音工事に役立つ測定器を4つご紹介していきます。

1.騒音計

騒音計は、音の大きさを測定するための測定器です。音の大きさを表す物理データである音圧レベルと、その値にA特性と呼ばれる人間の感覚補正を行った騒音レベルの2種類の騒音を計測することが可能です。

騒音計には普通騒音計と精密騒音計の2種類があります。

●普通騒音計
環境騒音測定を主な目的とした騒音計
●緻密騒音計
騒音研究や評価を行うための騒音計
より細かい分析が出るのは緻密騒音計ですが、一般的な騒音測定が目的であれば普通騒音計の使用で十分です。

騒音計は、以前まではアナログタイプが主流でしたが、近年はデジタルタイプのものが主流となっています。デジタルタイプの騒音計には積分演算回路が内蔵されているものが多く、積分形騒音計と呼ばれることもあります。時間率騒音レベルや単発騒音暴露レベル、等価騒音レベルを測定することも可能なため、より詳しい騒音測定が必要な場合は積分形騒音計の使用がおすすめです。

2.振動計

振動計は、振動を測定する測定器のことです。1秒あたりの振動数を表す「周波数（Hz）」や振動の幅を表す「変位（マクロメートル、ミリメートル）」、変位の速度や加速度を測定することが可能です。

計測方法としては、以下の2種類が挙げられます。

●バネやコイルを使用した接触式振動計
●レーザー光や電磁波を使用した非接触式振動系

上記の方法でサンプリングをして電気信号に変換し、必要であれば計測しやすい振幅になるまで増幅します。サンプリング値を処理して数値やグラフ化することによって、振動の大きさを可視化してくれます。

振動計は住宅防音工事の際だけではなく、工事中の振動調査などに活用されることも多いです。

3.雑音発生器

雑音発生器は、建築音関係の測定をする際に雑音を発生させる機械です。遮音量や残響時間、室内音圧分布などの測定をするときに活用します。

発生させられる雑音としては、以下の3種類が挙げられます。

●ホワイトノイズ
すべての周波数に置いて強さが一定となるノイズ。周波数グラフにしたとき、グラフの値が平均的でフラットになるところが特徴的です。小川の流れる音や草原の草がなびく音に近く、身近な例として「テレビの砂嵐」の音が挙げられます。
●ピンクノイズ
1オクターブごとに一定の強さとなるノイズ。1/fノイズとも呼ばれる。周波数グラフにしたとき、周波数帯域が高くなるほどグラフが右下がりになる特徴があります。音響の測定に使用されることの多いノイズです。
●オクターブバンドノイズ
ホワイトノイズやピンクノイズに対して、特定の1オクターブの周波数の帯域幅のエネルギーだけを取り出したノイズのことを指します。

これらのノイズを自分で作ることは難しいため、雑音発生器を使うことで効果的に遮音性や残響時間の測定をすることができます。

4.床衝撃音発生器

床衝撃発生器は、建築現場における床衝撃音レベルの測定に使われる機械です。床の音響性能の検査や、床衝撃音遮断性能を測定するときに役立ちます。

発生させられる衝撃音は機械によって異なり、「柔らかくて重い衝撃音」や「軽くて硬い衝撃音」などの音を出すことが可能です。

自由落下させることによって床衝撃音遮断性能が測定できるボールタイプのものもあれば、マシンによって歩行音を再現する本格的なものもあります。

【まとめ】測定器を使って防音室の工事を進めよう！

防音室の工事をする際は、4つの測定器を使うことで防音性能を確認することができます。測定したいデータに合わせて測定器を使い分けることで、より防音効果の高い工事が可能となるでしょう。

測定器は防音室の性能を評価するときはもちろんのこと、工事をする際の騒音防止にも役立つものです。ぜひ測定器を活用して、周囲に配慮した工事を進めてください。