金属製品加工で必要になる計測器の種類をご紹介
金属製品加工で使われる2大計測器はノギスとマイクロメーター
金属製品加工における計測では、もちろんスケール(直尺、いわゆる定規的なもの)ももちろん必要ですが、それ以外で不可欠な存在となるのが、「ノギス」「マイクロメーター」という2種類の計測器です。この2種類の計測器がなければ計測は始まらない、というほどに重要な存在ですので、それぞれの計測器の特徴について知っておきましょう。
ノギスはもっともよく使われる計測器
金属製品加工の過程で使われる計測器の中でも、もっとも出番が多いとされるのがノギスです。ノギスは本尺と副尺で構成されており、副尺をスライドさせることで、対象物の幅や長さを計測します。ノギスひとつあれば、外径や内径、溝の深さ、段差の計測など数多くの用途に使うことができます。
ノギスにはアナログ式のものとデジタルノギスがあり、アナログ式の場合計測精度は0.05mmまでとなりますが、デジタルノギスの場合はそれよりも細かい0.01mmの精度まで計測することも可能です。
マイクロメーターは汎用性に欠けるが精密さが魅力
マイクロメーターは、マイクロという言葉が品名についているだけあって、デジタルノギスよりもさらに精密な計測が可能です。マイクロメーターは、アナログ式であってもその計測単位はデジタルノギスに匹敵する0.01mmのものがほとんどで、デジタル式となるとノギスではまず対応不可能なレベルである0.001mmという非常にすぐれた計測精度を誇るものもあります。
ただし、マイクロメーターはノギスと比べると多目的に使うのが難しいという欠点があります。マイクロメーター1本で計測できるサイズは0~25mm、25~50mm、50~75mmといったように25mm単位で区切られており、それぞれ別のマイクロメーターが必要となります。そのため、金属製品加工の計測をすべてマイクロメーターでこなすとなると、かなりの本数が必要になってしまうというデメリットが生じるのです。
そのほか金属製品加工に使用される計測器
ノギスとマイクロメーターのほか、金属製品加工の計測において出番が多い計測器についてもご説明します。
穴の内径などを計測するホールテスト
ホールテストは内径測定器ともよばれ、穴の内径などを計測するために使います。計測のメカニズムはマイクロメーターと非常に似ているものであるため、計測の精密さもマイクロメーターに匹敵するレベルとなっており、デジタル式ホールテストの場合は0.001mmの計測精度を誇るものも存在します。
ブロックを組み合わせて寸法を測るゲージブロック
ゲージブロック(ブロックゲージ)は厚みが同じで横幅が異なるブロックが100個ほどセットになったもので、このブロックを組み合わせてさまざまな寸法を作りだします。
ゲージブロックの材質はセラミックスが主流となっていますが、セラミックスと同じ熱膨張係数をもつ鋼鉄で作られているものもあります。
精度によってK級・O級・1級・2級の4段階に分かれており、もっとも精密なのは学術研究レベルにも使えるK級です。その精度は0.05mμmと、マイクロメーターでは及びもつかないレベルの超高精度となります。
ただし、金属製品加工の工場で使用するレベルならK級にこだわる必要はなく、基本的には2級でもじゅうぶんです。2級でも0.2μmの精度があり、この精度でもゲージ製作や測定器の感度調整などの役割を果たすことができます。
ダイヤルゲージは比較測定が得意な計測器
ダイヤルゲージは、対象物の数値を直接計測するという一般的な計測器とは異なり、たとえばゲージブロックなどの基準器をまず使用したうえで、その基準器と対象物の差を計測するなど、比較測定が得意な計測器です。
水準器は製品部材などが水平かどうかを計測するのに役立つ
水準器は製品部材などが水平かどうかを計測するための計測器です。「気泡が中央に来れば水平」ということがわかるアナログ式のものがよく使われていますが、デジタル式の水準器も存在します。
まとめ
金属製品加工にはさまざまな計測器が使われる
金属製品加工の際に使われる計測器としては、いわゆる定規的なスケール(直尺)はもちろんのこと、ノギスやマイクロメーター、さらにホールテスト・ゲージブロック(ブロックゲージ)・ダイヤルゲージ・水準器などもよく使われます。
なかでもノギスとマイクロメーターは金属製品加工の計測において不可欠となる存在です。金属製品加工をする場合は汎用性・利便性が高いノギスと、汎用性にはやや欠けるものの精密な計測ができるマイクロメーター、この2つが最低限でも必要となります。